6月の梅雨時、オヤイデ電気秋葉原店の様子。平日は産業用電線を求める法人客、祝日や土曜日は自作派オーディオファンが詰めかけます。 最近はポータブルオーディオのイヤホンケーブルの自作パーツを買っていかれる方が多いですが、ピュアオーディオ系の自作パーツを購入される方々も健在です。あと、この時期から夏休みにかけては、お子さんがお父さんと一緒に来店して、夏休みの電子工作用の配線材やマグネットワイヤーを買っていかれたりします。
さて、こちらは店頭のオーディオや楽器用のプラグ陳列棚。年々取り扱いプラグが増えています。狭い陳列スペースに所狭しとミニプラグやフォーンプラグがひしめいています。
そしてこの陳列棚に新入り登場!ポータブルオーディオ自作ユーザー待望のオヤイデ製2.5mm4極プラグです! アステルアンドケルン(通称AK)のAK120Mk2をはじめ、AKシリーズの数多くのハイレゾポータブルプレーヤーに採用されているバランス出力方式が2.5mm4極なのです。それで、AKシリーズの大ヒットとともに、ケーブル自作ユーザーやイヤホンリケーブルメーカーで一挙に2.5mm4極プラグの需要が高まりました。この2.5mm4極プラグによるバランス出力は2年ほど前に登場したと記憶しているのですが、それ以来DAP(デジタルオーディオプレーヤー)のバランス出力は2.5mm4極が圧倒的なシェアを誇る印象です。他に、2.5mm2極の2つ使いのラトック方式、RSAやALOオーディオなどで見受けられるアイリスプラグ方式(角型4ピン)、ソニーのPHA-3に採用されている3.5mm3極の2個使いなどがありますが、2.5mm4極が普及した今、そのほかの接続方式はいずれも少数派と言えるでしょう。
オヤイデ電気秋葉原店ではP-2.5/4Gを5月から発売していましたが、オンラインショップでは6月から販売開始しています。みなさんが1年以上首を長ーくして待ちに待ったオヤイデクオリティの高音質ミニミニプラグですから、発売以来口コミで情報が広がり、おかげさまで結構売れてます!!
こちらがP-2.5/4G。オヤイデ電気らしい精巧な造りです。電極のメッキは金で、銀色のカバーは梨地クロームメッキです。
これがAKシリーズなどのハイレゾプレーヤーでバランス出力する際のピン配列。もっとも、2.5mm4極プラグというのは、AKのバランス出力のためだけに世にあるわけではなく、従来はビデオカメラの映像音声コンポジット出力端子などに多用されてました。
さて、P-2.5/4Gにはこのようなミニプラグ用絶縁シールが4枚付属します。何枚重ねるかは好みで。これをピンの根元に貼り付けることで、ハイレゾプレーヤーの筐体と、P-2.5/4Gの左チャンネルのコールド側電極が接触するのを防ぐことができます。このシールがないとどうなるかというと、このプラグをプレーヤーに挿した場合、バランス伝送はコールド側と称する方にも信号が流れるため、筐体とコールド側電極が接触すると信号にノイズが混入したり、信号がきちんと流れずに音楽再生がストップしてしまうことがあるのです。
ケーブルはオヤイデの切り売りイヤホンケーブルHPC-26T V2 Silver。印象的な金メッキ電極のメタルシェルコネクター。材料代はP-2.5/4Gが2,080円、ケーブルが仮に1.0mものとして1mもので580
円、MMCX用メタルシェルコネクターが1,404円。イヤホンケーブルが合計4,065円で出来上がってしまうというハイCPイヤホンリケーブル。なお、2.5mm4極プラグは、3.5mmミニプラグに比べて電極を守っている絶縁樹脂が薄いので熱に弱いです。オヤイデのP-2.5/4Gは他社のに比べてまだ強いほうですが、それでもはんだ付けしている時もたもたしていると、熱で絶縁樹脂が溶けて、隣接する電極とショートしてしまいます。2.5mm4極プラグのはんだ付けは、熱をかけすぎないこと。あらかじめ予備はんだをケーブル側、プラグ側ともに施します。そして、本はんだ付けは、双方のはんだを溶かして、ささっと一瞬でくっつけるのがコツ。では、皆さんもバランス型イヤホンリケーブルの自作にトライしてみてください。
P-2.5/4Gのケーブル引き出し口径は4mmなので、4ミリ以下のケーブルが使えます。お勧めはフレキシブル ヘッドホン用 4芯シールド HPC-26QUADです。4芯あるのでP-2.5/4Gの4極分にちょうど同条件で結線できます。柔軟性に富んだケーブルなので、取り回しも良好ですし、繊細でワイドレンジで、粒立ちの細かい音質傾向は、高音質化を目指すバランス伝送にうってつけ。メートル当たり3,456円と、イヤホン/ヘッドホンケーブルにしては結構お高いケーブルですが、せっかく音の良いバランスケーブルを作ろうとしているのですから、このくらい贅沢をしてもいいんじゃないでしょうか。